ぶきっちょさんの共働き入門

2021年夏より家族でアメリカ居住。異国暮らしとキャリア断絶について考える日々

【アメリカ暮らし】趣旨は変わりましたが

カフェの床に映っている自分の影はひとつだけで、このところ毎日びったりと張り付いていた2歳の息子の影はそばにない。

彼は本日はじめて、同年代のこどもたちが通うスクールに出陣しているのだ。お気に入りのリュックサックを背負って、意気揚々とはいかないけれど気合十分、頼もしい背中であった。私が立ち去ろうかといういざその時には「泣いてもしょうがないね!!僕の母ちゃんすぐ戻ってくるね!!」と大号泣していたけれども。(大号泣する息子には申し訳ないけれど、「しょうがない」という日本語を正しく息子が使えていることの方に感動してしまった)

 

思えば怒涛の数か月だった。

育児休業から復職して数か月、ようやく仕事も保育園も軌道に乗ってきたかというころに、主人の海外転勤が決まった。日本に残って息子と二人三脚で仕事を続けようか、主人について行こうか、毎日毎晩悩んだけれども、私たち家族は3人一緒に暮らすことを選んだ。いまのところ後悔はしていないけれど、仕事を続けていれば・・といつか後悔する日がくるのかもしれない。

そうして、アメリカでののどかな田舎暮らしも3か月目に突入したところで、ずっとストップしていた本ページを再開することにしました。

すでに私は無職の身。「共働き入門」というブログタイトルとは趣旨が変わっておりますが、いつか日本でもう一度バリバリ働くことを夢見て、キャリアの断絶や子育てについて、アメリカの田舎生活体験記を織り交ぜながらつづります。

【絵本紹介】かぜビューン

今まで読み聞かせてきた絵本の中で、感銘を受けた絵本の紹介です。

 

hon.gakken.jp

 

サイズ:17.5×17.5cm

ページ数:38ページ

初版: 2018年2月8日

発行:学研プラス

 

作者名(tuperatuperaさん)とイラストのタッチで、てっきり洋書の日本語訳かと思いました。

ストーリーは風に吹かれた人物や物の様子を描くだけ、というシンプルさながら、ライオンのたてがみがカツラのように飛ばされてしまったり、強面のおじさんが強風で涙目になったりと、大人もじわっと笑わせに来る内容。かわいいメルヘン絵本向けタッチではない上に、瞳も三白眼気味で可愛げたっぷりとはいかないので、好みは分かれるかもしれませんが、私はとても好きです。(1歳後半の息子にはこの面白さはまだ伝わらず・・)

しかけのページが風をイメージした波型裁断なので、ちょっと耐久性に不安がありましたが、紙質がしっかりしていたので数回読んでみてとくに問題なさそうでした。

 

ご参考までに。

 

【絵本紹介】のりものなあにかな

今まで読み聞かせてきた絵本の中で、感銘を受けた絵本の紹介です。

hon.gakken.jp

 

サイズ:20.0×19.5cm

ページ数:18ページ

初版: 2018年10月25日

発行:学研プラス

 

男の子(ゆうくん)がおかあさんといっしょに街をあるくなかで、いろんな乗り物を見かける話。ページの端に、次ページの乗り物の一部がみえているため「つぎはなにかな?」と読み聞かせの中で自然にやり取りが発生する点はおすすめ。

発行は2018年ですが、イラストも描かれている風景もレトロ調で懐かしい雰囲気。現在の子育て世代がこどもだったころより、さらに昔の古き(よき?)日本という感じです。登場人物の男の子の表情も、やわらかくて可愛いです。

 

ただ、共働き世帯も増えている中で「バスで帰宅するお父さんを、(街の中を)エプロンをつけたままのおかあさんが子供を連れてお迎えに行く」という描写がいまいち馴染まず、お気に入りとはなりませんでした。レトロ調なので、昔の風景を表現しておりそれはそれで自然なのでしょうけれど。(あくまで我が家で馴染まなかっただけです)

 

ご参考までに。

【キャリア】それはご配慮ですか?

「もう少し、家庭を大事にした方がいいんじゃないの。君はおこちゃまもいるし、家事もしないといけないんだからさぁ」

 自分の常識は、世間の非常識なのだろうか。そんなことに目くじらをたててと眉を顰められるだろうか。神経質だと距離をとられるだろうか。聞き流してニコニコしていればよかっただろうか。

言われた瞬間に感じたのは、目の前が真っ赤になるかと思うほどの怒りだった。しかしその感情はすぐに鎮火して、襲ってきたのは無力感だった。仕事を頑張っても結局、かけられることばは激励でも労いの言葉でもなく、嗜めと親切ごかした「ご配慮」の言葉である。

働く母親は、職場では申し訳なさそうに縮こまっていないといけないのだろうか。

 

育休からフルタイムで復帰してはや3か月。ようやくもようやくだが、仕事が軌道に乗ってきただろうか、と思い始めた時期であった。休業前とは全く異なる、新しい仕事。右も左も分からないながら、関係先との顔つなぎが済み、どんな成果を求められているかがわかってきたところであった。息子の発熱も頻度がさがり、主人や地域の力を借りて、突発欠勤をすることのない体制を整備できたことで「普通に」仕事を任せてもらえるようになっていた。

そんな矢先に起こった職場での大規模トラブル。私を含め、所属するチームメンバーは全員日夜問わず、土日休日問わずの対応を求められた。なんとか事態が収束し、一息ついたところでなぜか私だけが名指しで残業を咎められ、冒頭の言葉をかけられるに至る。

上司にアサインされた業務、指示を受けた残業、休日出勤だったにも関わらず。

 

私は育休から復帰するにあたって、会社からは「こどもがいるのはみんな一緒。特別扱いはできない」と言われてきたし、特別扱いを要請したこともない。それなのにご丁寧に「ご配慮」だけは賜るのだ。生まれて間もないこどもがいる男性社員にはないその「ご配慮」は、女性であれば黙って飲み込まなければいけない類のものなのだろうか。その言葉を直接かけてきたのは斜め上の上司だったが、「育児をしながら、仕事も頑張りたい」という私を応援してくれていた上司まで、その言葉に感化されて「ちょっと抑えなさい」と言い出す始末だ。

育児も家事も、性別問わず家庭に所属するすべての大人に責任が発生することだ。もちろん仕事も同じである。

周囲のサポートも受けながら「育児がしたい、けれど仕事もしたい頑張りたい、出来ることならキャリアを積み重ねていきたい」と思い、それに向かって家庭をやり繰りしながら努力することは、はたから見ると見苦しいのだろうか。

 

大きなトラブル対応を終えて、達成感に肩を叩きあう同僚を横目に、いま私は途方に暮れている。ぱしっと心の折れる音が、聞こえた気がした。

 

【今週のお題】世界で二番目に好きだと

「いつかもし子供が生まれたら、世界で二番目に好きだと話そう」

某国民的アイドルのヒット曲の一節。わたしはこの歌の二番の歌詞がすきだった。

いつかもしこどもが生まれたら、同じことが言えたらいいと思っていた。

大人になっていつか誰かと結婚し、こどもができて長い時を過ごしたとしても、お互いがいちばんの理解者であり、こどもの「親」としてでなく、パートナーとして一番大切だといえる関係を作っていけたら幸せだろうとおもっていた。

実際に息子を授かり、臨月を向かえた私と主人は、おおまじめにそう言い合っていたのだ。こどもが生まれても、まずは夫婦関係を大切に。互いを一番に。こどもはいつか手を離れ、夫婦二人の時間を長く過ごすのだから、お父さん+お母さんだけの関係にはなるまいね、と。

 

しかしいま。

私は毎夜、保育園から帰ってきた息子に「世界でいちばんだいすきよ」と躊躇なく頬ずりしている。ひとりで集中して遊んでいるときは、なるべくそっとしておいてやろうとも思うのだが、隙をみては「かわいいかしこいすばらしい」と褒めたたえながらぎゅうぎゅう抱きしめてしまう。仕事をしているので、物理的に一緒に過ごせる時間は長くはないけれど、短い時間に愛情を伝えねばと躍起になってしまうのかもしれない。イヤイヤ期がはじまったらしい息子は、なにをするにも「ちがう!」と嫌がるのだが、母親からのハグと頬ずりは、遊ぶ手をとめて受け入れてくれる(すごく嫌そうな顔をしているけれど、照れ隠しだろうか・・)。

 

嘘でも冗談でも建前でも、息子に「二番目に」などとは言えない。

 

はじめは何とも言えない顔をしていた主人も、いまではすっかり「息子がいちばん、妻もいちばん」と折り合いをつけたらしい。同着一位でなにがいけない。自分のこどもがこんなにもかわいいなんて、本当にうれしい誤算であったな、と頷きあえるのは幸せなことだ。

 

ただひとつ告白すると、「せかいいちだいすきよ」と話しかける私を横目に、息子に「よかったな、昇格したぞ。でも元々は父ちゃんが一位だったんだぞ・・」と恨みがましく話しかける主人を、心の中で憎からず思っていたのも事実である。

 

今週のお題「告白します」

【絵本紹介】英語でもよめる はらぺこあおむし

今まで読み聞かせてきた絵本の中で、感銘を受けた絵本の紹介です。

 

www.kaiseisha.co.jp

 

サイズ:22×30cm

ページ数:25ページ

初版: 2006年10月

発行:偕成社

 

言わずと知れたはらぺこあおむしですが、これは日本語といっしょに英語原文が楽しめます。推奨年齢は4歳以降ですが、原色をたくさん使ったイラストとシンプルなしかけのおかげで低年齢から楽しめます。(我が家は1歳半からウケがよかったです)

原文もとっても簡単で読みやすく、また身近な食べ物の英単語がたくさん登場するので、「英語の本」と構えずに読めます。

原文が載っているおかげで、訳文の味わい深さが際立ちます。平易な英文が「こんな日本語で訳すのね、素敵」と思えたりと、大人が楽しめる読み聞かせ本です。

【育児】小皿に乗り切れなくなるほど

「ほら、〇〇くん母ちゃんにいいものあげたら?」

主人にうながされた息子がにぱーっと笑いながら近寄ってきて、小さな拳で握りしめた何かを私に差し出す。以前、虫をつまんでいたことのある息子の手のひらから何がでるかと内心ヒヤヒヤしてはいたものの、「ここで怯んじゃ母親がすたる・・!」と勇気を振り絞って両手をひろげる。

相手が幼児ならなおさらではあるけれど、大人相手でも何か分からないものを手のひらに乗せられるのはちょっと怖いものがある。

 

「あーいー!(ありがとうと言いたい。自分がお礼をいうときだけでなく、お礼を要求するときもありがとうと言うのが息子流)」と言いながら私の手のひらに置かれたものは、1cmほどの小さなどんぐりであった。想像していたよりもずっと可愛い正体に胸をなでおろす。

ほっとしたと同時に、じわじわと喜びが押し寄せてきた。

はじめての息子からの贈り物。

息子の世話を主人に任せて、休日にまで仕事をしていた母親なのに。

よく晴れた休日。主人と共に公園に向かうその良き日に、玄関で「いってらっしゃい」と手を振り家に残って仕事をしていた私は、息子にとってはいいおかあさんではなかっただろうに。

 

喜ぶに違いない、と疑わずに私を見上げるその瞳が愛しくて愛しくて、小さなからだをぎゅうぎゅうと抱きしめた。嬉しい嬉しい出来事だった。

 

息子が拾ってきてくれたどんぐりは、虫対策(どんぐりの中には高確率で虫がいて、時間がたつと食い破って出てくるらしい。恐ろしい)のために1週間ほど冷凍庫で凍らせたあと、白い小皿にいれて職場のデスクに飾った。ころりと佇むその姿をみるたびに、誇らしげにどんぐりを手渡す息子の顔を思い出して、ご満悦である。これから先、主人と散歩に行くたびに数が増えていくんだろうか。小皿に乗り切らなくなったらどうしよう。

もう両手では抱えられないほどのものを息子にはもらっているけれど、目にみえるモノとしては初めてだったこの贈り物を、わたしは一生捨てられる気がしない。