育児
ついにこの日がやってきたか・・と私は慄いていた。 これまでに我々夫婦が一度も息子に教えたことのない単語を、嬉々として息子が叫んだからだ。そう、あの愛と勇気がお友達の国民的ヒーローの名前である。 「あんぱん!!!」 やはり、やはり保育園に通い始…
最近ぐっとたくさん食べるようになった息子は、今朝も美味しそうに食パンをかじっている。「んっまあー!」といっておかわりを要求する小さな両手は、食パンよりもおいしそうなクリームパンだ。差し出されると「好きなだけお食べ」と言いたくなってしまう。 …
「いえっふぅー!」 息子の口から聞いたこともないような喜びの声があがった。これはいわゆる「パリピ(party people)」というやつではなかろうか。実際に会ったことはないけれども。 保育園に息子を迎えに行くともうグズグズで、私の姿をみた瞬間に泣きな…
「たったぁ~!」 ぶんぶんと首を縦に振りながら、ご機嫌そうに答える息子に私の相好は崩れっぱなしである。 最近、息子の発語に新たなボキャブラリーが加わった。「たった!(過去形の~かった)」である。「はーい」以来の受け答えワードで、うまく使える…
「あの、ぶきっちょさん、タオルはきちんとループ部分を引っかけてください」 「すみません、ぶきっちょさん、おむつゴミ箱に袋がかかっていませんでしたよ」 保育園に通い始めた当初、保育園での準備工程が頭に入っていなくて、よく先生にご迷惑をおかけし…
「くゆっくゆーー!!」と言って息子が体をくいっとよじる。右手の人差し指と親指を器用にくっつけて、何かをつまむ動作をしながら、体ごと右に倒してカギをひねる動作をする。ちょっと大げさなパントマイムのようだけど、息子の顔はいたって真面目だ。 保育…
「ううっ!」と言って息子が指さしたのは、我が家に届いた年賀状を束ねていた輪ゴムだった。役目を終えて少し伸びたその輪ゴムはすでに老齢といった風情だったので、息子の相手は荷が重かろうと思ったのだが、息子は「いいからよこせ」と譲らない。 まあ傍で…
テレビをつけると、どこかの大学がまさに2位から1位に躍り出るところだった。スタート地点からの経過を一切見ていないにも関わらず、選手の苦しそうな表情にウルっときてしまう。 視聴時間わずか5秒ほどのことである。主人に話したら「一昨年まで『何が面白…
生まれて初めて福袋を買った。 息子の衣類の入った福袋で、店頭で「男の子ラスト一点でーす!」という売り子のお兄さんの勢いに吸い寄せられるように手に取り、いつの間にか買ってしまっていた。福袋を買いに行った訳ではなかったのに。買い忘れてしまった伊…
まただ。またやってしまった。もう何度目か分からない。 両手にいっぱい抱えているのは、息子の新しいおもちゃである。木製のレール、電池式の列車、同じく木製のくるまと付属の専用ガレージ。自宅に車や電車のおもちゃはたくさんあるが、電池で稼働するもの…
「大丈夫、息子は毎日、ちゃんと生きている」 きっと母は、電話口から「当たり前でしょうが」としか反応できない言葉しか聞こえてこないことに困惑していたのだと思う。もっと幸せいっぱいの、親ばかが炸裂したような話が聞きたかったのだと思う。(1歳半に…
前話を書いたのがかなり前なので、過去記事を貼らせていただきます。 kinmokuseisan.hatenablog.com kinmokuseisan.hatenablog.com 産後、母に応援はお願いしない。もちろん里帰りもしない。 夫婦二人、二人三脚で育児を頑張っていこう。お金を払って利用で…
保育園登園後、目に涙をいっぱいに溜めて泣き叫び「置いていったら許さないぞ!」と私にひっしとしがみつく息子をなだめていると、保育士さんがやってきて、息子に明るく声をかけ、出入り口を指さした。 「あ、〇〇くん!ママがいるよ!」 ママ? 確かにママ…
妊娠は望んでいたことだ。なかなか授からず、待って待って、ようやく授かったこどもである。もちろん、優先順位など考えるまでもなかったし、そのことに悔いも一切ない。私たち夫婦のもとにやってきてくれた息子には、今でも毎日感謝のきもちでいっぱいだ。 …
「ええよなぁ、女の人は育児休暇で1年も休めて。ほんま羨ましいわぁ!」 明日から産休。もうしばらく出社せず顔も合わせられなくなるからと、上司が職場のメンバーを会議室に集めて激励してくれたときのことだった。戻ってきたらまた一緒に働きましょう、と…
息子を惹きつけるものは、不思議と黄色と黒でできている。 ※以下、文中にいくつも会社名が登場しますが宣伝などではなく、あくまで個人(息子)の嗜好です。 「おぉぉーぅ!!」と、息子が普段より野太い声をあげて指さす先には、工事をしているショベルカー…
大丈夫だ、息子は今日も元気である。とりあえず彼が今日元気に生きていられるだけの栄養をなんとか摂取してくれればそれでいいのだ。 諦めの境地に至ったころに読んだ離乳食の本に「とにかく鉄分だけは取っておけ」という内容を見つけた。私は鉄分の重要性を…
「ごはんちゃんと食べないとぉ~鉄分おばさんがくるわよおぅ~」 息子はえへぇっと笑って意にも介さない。なんといっても鉄分おばさんというのは、この私である。ごはんの大半を食べ残した息子を、鉄分入りぶどうゼリーだの鉄分入りのせんべいだのをもって追…
息子は私の背中におぶさって、ぷすんぷすんと鼻を鳴らしながら眠っている。いつもより高い体温に不安が募るけれど、眠っている今は何もしてあげられることがない。せいぜい彼がよく眠れるように、体を揺すっていることくらいだ。そういう訳で私はこの文章を…
息子は離乳食開始期からずっと食の細いこどもで、一歳半となった今もそれが継続している。保育園に行き始めて周囲の子たちが食べるのを目にするようになったためか、以前よりは随分たくさん食べてくれるようになったが、やはり摂取カロリーより運動量の方が…
我が家の寝かしつけはかなりのハードワークなのだが、この度「子守歌」の部の難易度が飛躍的にUPしたことをご報告いたします。 これまでは童謡を中心に20曲ほどその日の気分でのんびりと歌えばよかったのだが、今の息子のお気に入りは「息子を褒めたたえる歌…
「もうすぐ繁忙期だからねえ・・おじいちゃんおばあちゃん呼んでもらって、残業できる日教えてね~」 数年前、まだ私が結婚する前の話だ。隣職場の小さなお子さんのいる女性が、上司に冒頭の台詞を軽く言いつけられていた。 当時は、まだ自分の身に差し迫っ…
ぎゅっと握った息子の両手は、まさしくクリームパンのようだ。むちむちで、やわらかくて、しっとりとしていて、あたたかい。生まれたときから肉厚で手の大きなこどもだったが、それでもまだまだ小さくてかぶりつけば口の中に丸ごと入ってしまいそうな大きさ…
今週のお題「もう一度見たいドラマ」と聞いて、真っ先に思い浮かんだのが「大好き!五つ子」である。結構前のドラマであったような・・と検索してみると、なんとシーズン1はもう20年以上も前に放送されていたのだった。懐かしいはずである。 夏休みのお昼は…
「不当」だとか「理不尽」だとか、そういう言葉を知っていたならば、と思う。あの時の私はその言葉を知らなかったので、ただただ増えていく正の字を眺めていることしかできなかった。心の中が黒く塗りつぶされていった。自分を弱者だと思った。この世界はど…
子供というのは大人をよく見ている。幼くてもその自治力というか正義感というか、与えられたルール内で大人の意思に従うのは上手なのだ。そしてその自治力が、新たなルールを作り出した。 「先生、ぶきっちょさんは落とし物も多いです。落とし物も数えたほう…
ブログ趣旨とは少し外れるかもしれませんが、ツイッターで話題になっていたことで昔の記憶が鮮明に思い出されたので書いてみることにします。育児に通ずることもあったので。 ツイッターで「忘れ物の数を黒板に書きだされる学校があるらしい」と話題になって…
息子は、保育園に行き始めてからぐっと感情表現豊かになったと思う。 これまで自宅でもなるべくたくさん話しかけたり、一緒に歌を歌ったりと私なりに精一杯構っていたつもりだが、やはり私一人では与えられる刺激に限りがあったのだろうなと思う。出来ること…
我が家では、某写真館で購入できる顔写真入りキーホルダーをとても気に入っていて、今日までは「息子が世界一可愛く映っているキーホルダー」と呼びならわしていた。 丸型と四角型が選べ、中に写真館で撮影した可愛い我が子の写真をいれられるのだ。とても素…
今朝の息子は泣かなかった。朝起きて、朝ご飯をたべて、歯磨きして、電車のトレーナーに着替えて。不安そうな顔をしているがぐずらず、粛々とやるべきことをこなしていった。 そうして保育園へ出かける間際、靴下を履くよと声をかけると、聞こえなかったふり…