ぶきっちょさんの共働き入門

2021年夏より家族でアメリカ居住。異国暮らしとキャリア断絶について考える日々

【キャリア】「よし産もう」と思える国って①

息子が寝静まった後、主人と夕飯を食べながらニュースを見ているときの事だった。

バイデンさんが広報チームに全員女性を登用したという。

それを受けて女性総理大臣を目指す野田さんも女性登用の数値目標を掲げるべしとにこやかに語った。目標のある女性というのは格好いい。

 

「でもさ、子供ももっと欲しいよね」

私がぽつりと何気なく言った一言に、主人は頷いた。私は仕事が好きだ。自分が所属している会社も好きだ。キャリアは重ねていきたいと思っているし、その結果が評価につながれば管理職にだって出来ることならばなりたいと思っている。

けれど一方で、愛する主人の子供だって、こちらも出来ることならば野球チームが作れるほど欲しいのだ。金銭的なものもあるけれど、年齢というリミットがある以上、それは今からはなかなか難しいだろう。5つ子を授かるとかしない限り(5つ子の方がハードルは高いですね)。

 

キャリアと子供、この二つの相性は非常に悪いと思う。少なくとも私が今働いている会社では水と油のようなものだ。どちらかを優先すると、どちらかが離れてゆく。

 

私は育休を1年半取得することに決めていた。

それは、自身の単身赴任という状況が、出産後に変化するのかどうか分からなかったからだ。会社のスタンスは一貫していた。

「総合職である以上、子供がいようが家庭があろうが、勤務地に対して文句を言うことは許さない。我慢できないならここを去れ」

 

単身赴任勤務で子育て? できるのかそんなことが? 1歳の子供を抱えて? 一番の理解者である主人とも離れた土地で? 誰一人親兄弟もいないのに?

もちろん日本にはたくさんいるのだと思う。けれど不器用な私には到底成しえないことのように思えた。だからはじめから、会社で許される最長まで育児休業を申請することにしたのだ。

1年半後の世論の変化、それを受けて会社のスタンスが変わること。

そして1年半後の子供と自身の成長に賭けようと思った。

 

残念ながら、会社のスタンスは変わらなかった。

そして私と息子も残念ながら、主人と離れて2人きりで暮らしていけると自信が持てるほどには強靭にはなれなかったのだった。

私たち家族は今、かなり大きな岐路に立たされている。

 

私は仕事を続けたい。子供だってたくさん産みたい。

でも、会社が、ひいては会社にそう言うのを許してしまう雰囲気を醸成しているこの国が、その両立は無理だと言っているではないか。

個人の努力でなんとかできる範囲を超えているではないか。

女性が輝ける社会、STOP少子化というけれど、いくら意欲があったって八方塞がりだ。

 

意欲はあるのに、それを超えられないのは私が不器用だからなのだろうか。

 

「じゃあ、どんな国だったら『よしもう一人産もう』って思える?」

そんな主人の問いかけによって、私たち夫婦は夢物語をはじめた。