ぶきっちょさんの共働き入門

2021年夏より家族でアメリカ居住。異国暮らしとキャリア断絶について考える日々

【キャリア】「女性管理職」というスーパーマン①

①とても尊敬する女性がいる。

会社で管理職をしている女性で、語学堪能・スタイルもよく・美人・気配りができる・そしてもちろん仕事ができる颯爽としたキャリアウーマンだ。性格はサバサバとして、だれに対してもとても所作が美しく、気持ちの良い態度で接する。加えてお酒が好きで、話も面白いのだ。そして、息子さんが3人いる。

いわゆる「デキル女性」というものを絵にかいたような人だ。三拍子どころか何拍子もそろいすぎていて、普段ははるか雲の上の人である。

 

その女性に、一度食事に誘ってもらったことがある。

私だけでなく年齢の近い総合職女性が数人呼ばれていて、日頃なかなか話せないことを集まって気兼ねなく語り合いましょうという趣旨の会で、後々思い返してみると、どうやら内々の人事調査に近い意味合いがあったようだ。しかし当時の私にとっては、あこがれの人とお話しできるドキドキの会合だった。

 

色んな話をした。会社の話、仕事の話、世の中の行く末の話。そして個々人のプライベートの話。話をきいてみると、もうまさにスーパーマンなのであった。

単身赴任歴が長いのに、祖父母の手を借りることもなく、お子さんが小さい頃にはベビーシッターを雇ってやりくりしていたらしい。昇進を逃さぬよう育休も数か月(半年もなかった)のみ、もちろんフルタイム復帰。平日は怒涛の勢いで仕事を片付けて、帰宅後に家事・育児、寝かしつけてまた仕事。週末は一週間分の食事の作り置きをして、洗濯をして、掃除をして、夜はまた仕事。

いったいいつ寝ているのか。

単身赴任を終えてご主人とも一緒に暮らすようになっても、家事は全般こなしているとのこと。いわく「夫はなんにもしないから!頭数にはじめっから入れなきゃ意外となんとかなるものよ!」とのことだが、なかなか重たい管理職の仕事に加えて、家事・育児全般こなすというのは、どんなマリオスターを食べれば可能になるのだろう。

 

ご主人は仕事を続けていることにあまりいい顔をしないようだが、お子さんとはとてもいい関係を築いているらしい。(「うちの母親、結構かっこいい」だなんて、私は一生言ってもらえる気がしない。しかも多感な中学生の男の子に!)

 

とてもあこがれる人だ。そして私は会社を、仕事を、とても好きだ。

けれど、同じ道のりを歩いて行けるとは、到底思えないのだった。

想像すらできない。

 

しかしその人以外、女性で管理職についている女性がほとんどいないのだ。ロールモデルが殿上人すぎて閉口してしまう。もし女性が家庭を切り盛りしながらキャリアを重ね、管理職になる要件が彼女のようであることだとすれば、あまりにハードルが高すぎる。もはやはるか遠くに霞んでしまって見えない。

 

 同じように管理職をしている男性にも、もちろん尊敬する人はたくさんいる。しかし、ものすごく頭がいいなあとか、ものすごく社内政治的根回しが早いなあとか思ったにしても「この人、スーパーマンじゃなかろうか」と思うのはその女性だけだ。

 

少なくとも私のいる会社では、育休が間違いなく昇進・昇格に差し障る(日本の多くの会社にも同じことがいえるとも想像している)。祖父母や夫に家事を頼れない家庭では、女性がスーパーマンになるしかないのだろうか。