今週のお題は「自分にご褒美」だ。いざ書こうとして思い返してみても、自分にご褒美を買った覚えが最近全くない。かといって、不満があるわけでもないのだよな・・と思ったところで気が付いた。
ご褒美にあたるものはすべて、主人が買ってくれるのであった。そうなるともう「自分に」ご褒美とは言わない。
我が家では、お小遣い制度を導入していない。収入は別で、それぞれの銀行口座に振り込まれるし、何かを買うときだってどちらが払うか気にしたこともない。お金の管理もざっくりとしたもので、毎月大まかな出費の管理と、年に数回に在庫の棚卸(預金、株式等)をするだけだ。あっさりしたものである。二人ともあまりお金を使わない方なのかもしれない。
結婚して最初の月だけ、新婚気分でお小遣い制を導入したがすぐにやめた。その方がよっぽど出費が多くなったからだ。
「あっ、まだ僕のお小遣い5千円残ってる!君の欲しがっていた高いシャンプーを買おう!」だとか「私も8千円残ってる!あなたのパンツを新調しよう!」だとかやっているうちに冷静になってやめた。別に上限ぎりぎりまで使う必要もないのだが「お小遣い」として与えられると使いたくなってしまうのが人間ではなかろうか。
そんなわけでお小遣い制度は廃止された。
だから欲しいものができるとお互いちょっと神妙な顔をして相手に申請する。
「ねえ、これ買ってもいいだろうか?」
大抵はそんなに値が張るものではないので「聞かなくても買えばいいじゃないの!」と言われるのだが、お互いつい言ってしまう。もはや互いの口座は共同財産とみなしているので、買ってあげるも買ってもらうもないのだが、まあ習い性で言ってしまう。というわけで我が家ではご褒美は、同意を得て相手に「買ってもらう」ものであるのだ。
ところで最近主人にもらったもので一番うれしかったのはタピオカミルクティーだ。
我が家では誕生日になにか贈り物をするという習慣がない(夫婦なのだから送りたいときに送ればいいと思っている)。今年の誕生日も特に期待はしていなかったのだが、テレビで「奥様にサプライズ」という企画をみて羨ましくなってしまった私はつい軽口で「たまにはサプライズくらいしてくれてもいいよ!」と言ってしまった。誕生日の2,3日前のことだ。
言った本人は誕生日当日すっかり忘れていたのだが、「ちょっと洗車に行ってくる」といって出かけた主人は、帰ってくるなり山のようにタピオカミルクティーをテーブルに積み上げた。洗車にしては随分長いこと出かけているものだと思っていたら、近所のスーパーやコンビニを巡って、売り場にあるタピオカミルクティーを根こそぎ購入してきたらしい。あまりの本数にちょっと唖然としてしまった。30本以上あった。もっとかもしれない。
以前に私がタピオカミルクティーのテレビをみて「飲みたいけどこども連れでこの行列はねえー」と言っていたのを覚えていたらしい。
それはそれはとてもサプライジングな出来事であった。ねだったサプライズとはだいぶ毛色が違うものではあったけれど。
ちょっと不愛想な感じの強面の男性が、大量のタピオカミルクティーを買いあさる様子を想像して、吹き出してしまった。なんて愉快な誕生日だろう。
タピオカミルクティーたちは冷蔵室だけで収まらず、野菜室にまで侵食していて、消化がされるまでの数週間しばらくにやにやがとまらないのであった。