ぶきっちょさんの共働き入門

2021年夏より家族でアメリカ居住。異国暮らしとキャリア断絶について考える日々

【育児】とうちゃんタクシー

お風呂に入って全身に保湿クリームを塗りたくり(息子はすぐ湿疹ができるタチなので夏でも保湿クリームがお友達である)、歯磨きを終えたら、絵本の読み聞かせをする。3冊ほど読み終わって息子が満足したら、主人に抱きかかえられて寝室に向かう。我が家ではこれを「とうちゃんタクシー」と呼んでいて、父子の大切なふれあいの時間である。

主人がコロナをきっかけに常識的な時間に帰宅するようになってからは、欠かしていないルーティンだ。息子もそれが分かっているようで、寝室に向かうころ合いになると、主人の姿を探している。

主人の姿を見つけると「ううっ!」と元気よく主人をびしっと指さすのだが、顔が得意げで「さあ運べよ」と命じているように見えて、はたから見ていると面白い。不愛想な感じの強面の男性が、幼児に粛々と従っている。

 

主人と息子は驚くほどよく似た親子で、私はひそかに「遺伝子って怖いな」と思っている。頭のかたち、寝るときに下唇が突き出ていること、眠たくなると二重になるところ。ふとした所作や笑い方は後天的なものにしても、本当に生き写しのように顔も仕草も似ているのであった。私が構うと素っ気ないくせに、忙しく家事をしていると構ってほしそうにちょろちょろするところまでそっくりだ。

 

今日も息子はとうちゃんタクシーに乗車して、寝室までの短い道のりを揺られていく。日によって道のりの苦難は異なるようで、ぶんぶんと回転しながら向かう日もあれば、振り子のようにゆらゆら大きく揺らされながら向かう日もある。主人が疲れているときは、鼻歌で誤魔化される時もある。でもどんな道のりであっても、息子は「えへへえっ!」と嬉しそうに笑っている。一日の終わりに、父に構ってもらえるのが嬉しいのだろう。彼は主人のことが大好きだ。気の抜けるような笑い声からそれが伝わるから、主人も毎日の無賃乗車を歓迎している。

 

私はその間に、急いで水分補給をして寝かしつけに備える。また別の話ではあるが、息子の寝かしつけはもはや体当たり勝負というか、全身全霊で行う儀式のようなものというか、とにかく1日を締めくくるとても疲れるイベントなので、それに向けたウォーミングアップが必要なのだ。

 

さあ、とうちゃんタクシーから下車した息子が寝室で私を待っている。