ぶきっちょさんの共働き入門

2021年夏より家族でアメリカ居住。異国暮らしとキャリア断絶について考える日々

【キャリア】祖父母は会社の備品じゃないよ

「もうすぐ繁忙期だからねえ・・おじいちゃんおばあちゃん呼んでもらって、残業できる日教えてね~」

数年前、まだ私が結婚する前の話だ。隣職場の小さなお子さんのいる女性が、上司に冒頭の台詞を軽く言いつけられていた。

当時は、まだ自分の身に差し迫っていなかったこともあって、「大変だな・・」ともやっとする程度で聞き流していたが、今思えば物議をかもす発言だと思う。

その女性は一般職の女性で、基本的に時短勤務で退社できるよう業務調整していたのだろうが、年に数度ある繁忙期には、その女性の両親(もしくは義両親)が、まだ小さいお子さんのお世話のため、応援に駆けつけるようだった。

しかし聞けば両親は介護のために故郷に帰ってしまい、遠方住まいで新幹線の距離。義両親はもっと遠方で飛行機の距離。どちらに応援を頼むにせよ、費用も手間もかかるのだった。それを、繁忙期には当たり前のように(もちろん何の金銭的負担もせず)呼びつけてその女性に残業を迫るなんて、管理職としてどうなんだろうと今は思っている。もっと言うとそんなことが平然とまかり通る会社なんて嫌だな、と思う。「呼んでもらって」だなんて、まるで残業対応のための備品のようではないか。会社の都合で好きに使っていいものではない。使える前提で業務設計をすることに、強い違和感を覚える。

 

 

正社員なのだから会社の都合に合わせてきっちり職務をこなしてもらわなければ困る!という意見もあると思うけれど、それこそ会社という組織に属しているのだから、職場の人間同士でカバーしあえないものだろうか。時短勤務のその女性は、お給料だって他の人よりもらっていないのだし。

「その人にしかできない!」というならば、繁忙期には必ず必要となるようなその仕事が「その人にしかできない!」状態で標準化もされず残っていることの方が問題だ。そもそもの業務ボリュウムの問題ならば、人員が不足しているということだ。

祖父母を頼れという前に、まずは会社の中で業務整備をする方が先だと思うのだけれど、この問題は今も周囲でちらほら聞く。困っているけれど、祖父母召喚含めて自分たちで何とかできてしまうから、という人はきっとたくさんいるのだと思う。

 

ところで我々夫婦には、遠方でさえも頼れる祖父母がいない。だから万が一会社に求められても、無い袖は振れない。のっぴきならない場面では、ベビーシッターを手配するしかないと思っている。でも、プロといっても他人ではあるので、不安が全くないとはいえない。(保育士さんは心の底からリスペクトしているので、会ってみたら不安は消えるかもですが)

本当にいざ、というときに安心して頼れる大人がいたならば、と思う。普段から良好な関係を築くべく、超重要保安備品のごとく丁重に扱うのに、と。