ぶきっちょさんの共働き入門

2021年夏より家族でアメリカ居住。異国暮らしとキャリア断絶について考える日々

【妊娠】悪阻は続くよどこまでも①

妊娠していたときの回想です。ブログ趣旨とは外れますが、ご興味ある方よければ覗いて行ってください。

※嘔吐に関する間接的な描写があります。苦手な方は通り過ぎて下さいませ。

 

待望の第一子妊娠。喜びと、信じられないという思いとふわふわした幸福を味わっていたのはごくわずかな時間であった。そう、ヤツがやってきたのである。時に船酔いに、時に二日酔いに例えられる例のヤツである。

よく昭和のドラマで、それまで快活にお喋りしていたヒロインが、急に「うっ」と口を押えて流しに駆け込むシーンがある(そして密かに憧れていた)が、私のそれは全くもってそんな可愛いものではなかった。誰にも、もちろん主人にも「うっ」のシーンをお見せすることは絶対にできない、と思うほど壮絶な「うっ」であった。

まず、快活におしゃべりなどできようもなかった。ある日を境にやってきたヤツに私は随分と懐かれてしまったようで、24時間ひとときも去ることなく私のもとに居座った。朝目覚めたとき、通勤中、仕事中、入浴中、就寝後にトイレに起きた瞬間までずっとずっとずっと居座っていた。目覚めた瞬間「あ、体調悪い」から一日がはじまり、眠りに落ちる瞬間にも「あ、体調悪い」と思いながら一日を終える。

症状は「うっ」だけに留まらず、頭痛、倦怠感、手足の冷え(ずっと青白かった)、めまいまであった。まだお腹はぺったんこなのに、からだが10倍ほども重く感じた。文字通り足取りも重く、自然に歩くペースは普段の1/2ほどにもなった。

口に出来たのはみかんとりんご、トマトといった酸味のある果実と、味付けせずゆでただけの野菜。

 

一番ヤツを活発にしたのは「匂い」である。ここまでは多くの妊婦さんと同じであるが、私が当時苦手だったのは食べ物類ではなく、機械類などのどちらかというと無機質な匂いである。

筆頭は、キングジム(会社などでよく使うでっかいバインダーです。ご存じでしょうか?)の匂い。それからコピー機の匂い(コピー機に匂いなんかあるかよ、ってお思いでしょうか)。ノートPCの匂い、ゼムクリップの匂い、エレベータの匂い、本の匂い。それまではどちらかというと好きだったはずの匂いが軒並みダメだった。

職場で仕事をしていたら避けられない匂いだったので、私はしょっちゅう、柑橘系の精油を垂らしたマスクやタオルで顔を覆っていた。少しでも嗅いでしまうと特大の「うっ」である。頭痛もひどくなった。顔色も真っ青だったので、妊娠を公表していない時は、働きすぎで過労による病を患ったに違いないと思われていたらしい。

「ぶきっちょさん、そろそろちょっと休んだ方がいいんじゃない・・?年休、たっぷり余ってるでしょう・・?」