ぶきっちょさんの共働き入門

2021年夏より家族でアメリカ居住。異国暮らしとキャリア断絶について考える日々

【育児】きいろとくろの救世主

息子を惹きつけるものは、不思議と黄色と黒でできている。

※以下、文中にいくつも会社名が登場しますが宣伝などではなく、あくまで個人(息子)の嗜好です。

「おぉぉーぅ!!」と、息子が普段より野太い声をあげて指さす先には、工事をしているショベルカーの姿があった。近所の空き地に新しい建物ができるらしい。基礎工事のために地面を力強く掘り起こす様は威風堂々としていて、巨大な車体は誇らしげに土をまとっている。そのボディの黄色は、彼の持つクレヨンの安っぽい黄色とは異なる野性味にあふれており、機械油のようなもので黒く汚れていた。

「しばらく見ていく?」と聞くと無言で大きく両手をあげて賛同したので、邪魔にならないよう少し離れた広場で、かれこれ30分ほどもショベルカーを見ていた。それはもう、食い入るように。直前まで、もうベビーカーを降りるのだとぐずっていたのはさっぱり忘れているようだ。彼の満足いくまでショベルカーを眺めると、十分に堪能したためか、大変にご機嫌でベビーカーに乗ってくれたのであった。コマツさん、ありがとう。

そして、家に着くと真っ先に向かうのは、彼の相棒であるトラのぬいぐるみの元である。そう、みんな大好きしまじろうさん(お世話になりすぎて呼び捨てになどできようもない)だ。息子はぬいぐるみに興味を示さないがしまじろうさんだけは特別で、おもちゃで遊ぶときもテレビ(しまじろうさんDVD)をみるときも傍らに携えている。雨の日や発熱時など外に遊びにいけないので機嫌が悪いが、しまじろうさんDVDが始まると途端にハッピーになる。(効果てきめんの劇薬なので、使用は1日1回まで。使いどころをいつも迷う)Eテレもトーマスも、しまじろうさんにはまだ敵わない。我が家の育児は、もうしまじろうさんなしには成り立たない。「しまじろうさん」という単語を出すと大興奮となるので、DVDをつけるか夫婦で相談をするときは「そろそろシッターさん呼びますか?」という隠語を用いているほどである。「シッターさん」というのは、しまじろうさんDVDが始まると両親の存在を忘れたように没頭するところから。本当に優秀な子守となって、さらに生活習慣まで教えてくれる。ベネッセさん、ありがとう。

そして息子のきらいな食事の時間。全く食べない彼が、いま現在唯一心を開いているものがある。ごはんイヤ!おかずイヤ!モードに入ったら、彼の耳元でささやく。

「・・・のりたま、食べる?」

すると魔法のように大人しくなり「それなら話は別」とばかりに口を開ける。塩分が気になるので、ほんのひとかけだ。しかしのりたまをかける素振りをするとスイスイ食べてくれるのだった。息子に生まれて初めて「うっまー!」という歓喜の雄たけびをあげさせたのも、こののりたまである。かあちゃんとしては複雑であるが、君がカロリーを摂取してくれるのであれば文句などございません。丸美屋さんに、心からの感謝を。

 

育児の救世主として敬うものは黄色と黒でできているものばかりなのだが、この配色は、言わずと知れた警告色である。いつか立ち入り禁止区域やスズメバチに突進して行きやしないかと、彼の趣味嗜好のワイルドさを、今から少し案じている。