ぶきっちょさんの共働き入門

2021年夏より家族でアメリカ居住。異国暮らしとキャリア断絶について考える日々

【育児】今年もきっと福袋のような一年に

生まれて初めて福袋を買った。

息子の衣類の入った福袋で、店頭で「男の子ラスト一点でーす!」という売り子のお兄さんの勢いに吸い寄せられるように手に取り、いつの間にか買ってしまっていた。福袋を買いに行った訳ではなかったのに。買い忘れてしまった伊達巻を買いに、立ち寄ったスーパーの隣で叩き売られていた。

購入したのは息子の衣類ではあるが、生まれて初めてなのは息子ではなく、母親である私である。30年以上生きてきて、初めての福袋。駐車場の車で待機していた主人は、妻がこれまで買ったことのない、欲しがったこともない「福袋」をホクホクと手にしているのを興味深げに見ていた。

自宅に持ち帰り、紙袋の封を開ける瞬間はなんとも言えぬ高揚感であった。それまでの私は、モノを買ったのになにを買ったか分からないなんて、馬鹿げていると思っていた(福袋好きの方ごめんなさい)。けれどどうだろう。いざ買ってみるとなんとも愉快な気持ちで、うきうきという効果音がぴったりだ。きっと来年も買ってしまう。

「そんなこと言って、どうせヘンテコな売れ残りアイテムばっかりなんでしょう」と、がっかりしないよう自己防衛の呪文をしながら開いてみたが、果たして中身は大当たりであった。よく言えばシンプルで何にでも合わせやすい、悪く言えば無個性な子供服がわんさか入っていた。無地とか、ボーダーとか、ストライプとか(結局シマシマですね)。もともとシンプルな服装を好んで着せていたので、私にとっては大当たりだった。春物はもう殆ど購入しなくてもよさそうだ。なんという出会い。ありがとう福袋。

 

福袋の中身が予想以上に気に入ったことも嬉しかったが、自分が「福袋を買おう」と思ったことが意外で、そして嬉しかった。この変化は、息子のおかげだと思っている。息子が生まれてから、想定外のことばかり起きるけれど、それも含めて楽しめるようになっていた。部屋はしっちゃかめっちゃか、予定が決めた通りに進むことはないし、外出だって思うようにできない。けれど、彼が生まれてから私たちの生活は新しい発見に満ちて、色彩豊かだ。

福袋、結構じゃないか。何が入っているか分からない、愉快愉快。

まるで我々の毎日のようだ。毎日何が起きるか分からない。

ごちゃごちゃしていて、想定外で、幸福な日々。

 

ところでその福袋の中身は概ねとても実用的だったが、一着だけかなり奇抜なトレーナーが入っていた。蛍光ピンクとグレーのボーダーで、肩回りと袖回りにライオン風のファーがあしらわれている。しかし、見た目がちょっと・・と思う割には生地はよく伸びて着やすそう・・といった一品であった。

その一着を広げてうーんと唸っている私に、主人が近寄ってきて魔法の言葉を囁いた。

「保育園のお着替えにぴったりなんじゃないかな?」