ぶきっちょさんの共働き入門

2021年夏より家族でアメリカ居住。異国暮らしとキャリア断絶について考える日々

【育児】回る回るよ おはなは回る

「くゆっくゆーー!!」と言って息子が体をくいっとよじる。右手の人差し指と親指を器用にくっつけて、何かをつまむ動作をしながら、体ごと右に倒してカギをひねる動作をする。ちょっと大げさなパントマイムのようだけど、息子の顔はいたって真面目だ。

 

保育園から帰宅して温かい室内に入り、玄関のドアを閉めると即座に息子からの戸締り指示が下る。ドアのカギ部分を見つめて「くゆっくゆーー!!(くるくると言いたい)」と言いながら「まだ戸締りしてないぞ」と注意してくれるのだが、あいにく保育園帰りの私は両手いっぱいに荷物を持っているので、荷物を脱衣場に置く(おしぼりタオルやエプロンが濡れてかなり匂うので玄関に置きたくない)まで戸締りができない。

息子からの指令は戸締りを完遂するまで続き、もたもたしていると催促の声は大きく野太い「ぐゆ"っ~!ぐゆ"っ~~!」に変わってゆく。さらには次第に地団太を踏み始めるので、私の帰宅後の焦りはいつだってMAXである。

今日も家についてドアを開けたら、抱きかかえた息子を玄関におろし、靴を脱がせ、自分も靴を脱ぎ、大急ぎで脱衣場に荷物を放り出して玄関に戻ってカギを閉めるまで、ずっと息子に急かされていた。冬休み明けだったのでタイムは振るわず、息子は「全くもう」と言わんばかり。

 

息子は戸締りに大変厳しい・・というより、くるくると回転する物に対する関心が非常に高い。なにかを回したり、回すのを見たりする機会は絶対に逃すまいと考えているようだ。

カギにはじまり、くるくる回る可動部のついたおもちゃは勿論、ペットボトルの蓋、回して開閉させるタイプのベビーロック、街中で見かける車のタイヤというタイヤ全般、キッチンペーパーホルダーに至るまで大好きで、とにかく回るものをみると「くゆっくゆー!」と指さして教えてくれる。こどもにとって「くるま全般」の幼児語は「ブーブー」だと思っていたが息子は「くゆっくゆ!」と呼んでいる。タイヤで動く自動車類はあまねく「回る部品を備えたもの」として彼の愛着を勝ち得たようでちょっと羨ましい。

 

ところで最近、息子の「回すものへの愛」が高じすぎて、私はちょっとした被害にあっている。

朝方早く(4~5時頃)に息子が私より先に目覚めると、起き抜けの「回すものへの愛」に溢れた息子は暴挙に出る。

私の鼻、あご、まぶたといった比較的つまみやすい部位を小さな手でぎゅぎゅっとつまんで「くゆっ!」と力強く回すのだ。残念ながら私の顔面のどのパーツも着脱不可なので、消化不良の息子は何度も回す。すると私は「ん"ふっ!」といって飛び起きるのだが、覚醒して息子をたしなめようとする頃には、息子は「つまらん」とばかりに寝なおしている。ぜひとも寝なおしたい私としても、眠りゆく息子に手出しはできず、いつもとても理不尽な思いで寝なおすことになる。

今日も鼻が取れなくてよかった・・と前向きに捉えるより他ない。