ぶきっちょさんの共働き入門

2021年夏より家族でアメリカ居住。異国暮らしとキャリア断絶について考える日々

【夫婦のかたち】さっきの笑いをもう一度

私が主人の性格を他者に説明するとしたら、まず第一に「陽気な人」というだろう。

しかしこの見解、ちっとも理解してもらえない。結婚式の披露宴で司会者のおねえさんが「ご主人のいちばんすきなところは?」ときいてきたので、打ち合わせ通りに「陽気なところ」と自信満々に答えたところ、その場がシンと静まり返ったほどだ。披露宴という場にもかかわらず。慌てたおねえさんが「あ、あと優しいところもすきって言ってましたよね!?」などとフォローしてくれたおかげで、沈黙は途切れたけれども。

主人は飄々としていたが、披露宴後に、まあ自分を陽気だと思っているのは私くらいだろうね、などとうそぶいていた。出席者の反応を予測できていたならば、事前に教えてほしいものである。

なんの事前情報もないと、たしかに不愛想な感じの強面成人男性なのだが、まさか普段は見た目通りの評価だと思わないではないか。家ではかなりの面白おじさんなのだから。

 

そんな陽気な主人、なにか面白いことをやったあとに私が「もう一回やって!」というと、必ず忠実に再現してくれる。それはもう、何度でも大真面目にやってくれる。私を含む世間一般では「もう一回やって」と言われても「やだよ!」「恥ずかしいわ!」などという対応が一般的だと思っていたが、彼はそうしない。面白い動きだったり、面白い言い回しだったり、なんであろうと必ず再現してくれる。

二度目以降もクオリティの変わらない(なんならパワーアップする)それに、私はいつもお腹を抱えて笑ってしまう。

 

息子が生まれてからというもの、どうしても夫婦ふたりで話し合う時間は減ってしまった。ケンカ(私が一方的に怒っているだけのことが多い)も増えた。息子との時間は確保しようと頑張っている一方で、主人のことは後回しになってしまうことが少なくない。

折をみて互いに謝罪をしあうのだけど、忙しいとその時間もなかなか取れず、だんだん不満が澱のように溜まっていく。けれど、そんなときに「もう一回やって」を素直に聞いてもらえると、なんだか怒っていたことも、些細なことならどうでもよくなってしまうのだった。夫婦仲の健全化に重要な役割を担っている。

私が息子の前でもしょっちゅう爆笑しているので、息子もきっと主人を「陽気なとうちゃん」だと思いながら成長していくだろう。「強面で不愛想なとうちゃん」よりずっといい。

ほうら、育児にもいいことづくめだよと主人をそそのかし、私は今日も主人にねだる。

「さっきのもう一回やって!!」