ぶきっちょさんの共働き入門

2021年夏より家族でアメリカ居住。異国暮らしとキャリア断絶について考える日々

【育児】完コピするまで待っててね

息子がしまじろうダンスを踊り始めて少し経つ。しまじろうさんのDVDに収録されている歌に合わせて、踊っているしまじろうさんの動きを真似て踊るのだ。親ばか上等で言わせてもらうと、かなりのクオリティである。足踏みしたり、手を叩いたり、からだを揺らしたりするタイミングも完璧だ。

しかし、同じしまじろうさんDVDでも、一種類のダンスしか踊らない。踊りだすのは決まって、どのDVDでもエンドロールで流れる代表的な楽曲。その他の歌やダンスは、テレビ画面を食い入るように眺めているだけで、決して踊ってくれない。

 

まあ、息子なりに好き嫌いがあるのであろう。たしかにエンドロールの楽曲は、口ずさんでしまうほどテンポがよくてノリノリな曲(「ぱっぱやっぱ」のリズムが素晴らしい)であることだし特別好きなんだろう。そう思って気にもしていなかったのだが、その認識を改めるタイミングは急にやってくる。

ある日突然「ううっ!」と画面を指さし、すっくと立ちあがった。びしっと画面を指さす後ろ姿からは強い意志を感じる。おかしいぞ、まだオープニングが始まったばかりだ。息子のおしりを振るかわいい姿をおがめるのはまだ先ではないか?

かと思うと、息子はこれまではじっと見ていただけだった楽曲(別DVDのオープニング曲)に合わせて軽快に踊り始めたのである。

しかも、茫然と見つめる私をよそめ(チラチラ得意げに見てたけど)に、フルで踊り切ってしまった。空に向かって手を伸ばす、地面に手をつける、立ち上がる、しゃがむ、くるりとその場で一回転する・・など難易度の高い動きがふんだんに盛り込まれているにも関わらず!

 

踊り切った息子は満足げに「ふすーっ」と鼻息をはいて座ると、あとは大人しくDVD鑑賞に夢中であった。取り残されたのは、興奮冷めやらぬ母である。「すごいね上手だね」と頬ずりしたが、DVDに夢中な息子に迷惑そうに振り払われた。彼にとってはもう過去のことだった。

どうやら息子は、完全にモノにしたダンスでないと披露してくれないようだ。これまで食い入るように画面を見つめていたのは、ダンスを完コピしようとしていたらしい。片鱗をみせる息子の几帳面さや完璧主義に、私はすでに慄いている。

 

ところでこれを機に、息子の完コピの手助けになればと、一緒にダンスを踊ってみることにした。するとまあなんとキツイこと。飛んだり跳ねたりしゃがんだり、幼児用DVDと甘く見ていたが、ちっとも軽快に踊れやしなかった。息子の体力と表現力に舌を巻く一方で、ぬいぐるみ着用であの激しいダンスを踊り切るしまじろうさんたちに、改めて尊敬の念をいだいたのであった。