ぶきっちょさんの共働き入門

2021年夏より家族でアメリカ居住。異国暮らしとキャリア断絶について考える日々

【育児】小皿に乗り切れなくなるほど

「ほら、〇〇くん母ちゃんにいいものあげたら?」

主人にうながされた息子がにぱーっと笑いながら近寄ってきて、小さな拳で握りしめた何かを私に差し出す。以前、虫をつまんでいたことのある息子の手のひらから何がでるかと内心ヒヤヒヤしてはいたものの、「ここで怯んじゃ母親がすたる・・!」と勇気を振り絞って両手をひろげる。

相手が幼児ならなおさらではあるけれど、大人相手でも何か分からないものを手のひらに乗せられるのはちょっと怖いものがある。

 

「あーいー!(ありがとうと言いたい。自分がお礼をいうときだけでなく、お礼を要求するときもありがとうと言うのが息子流)」と言いながら私の手のひらに置かれたものは、1cmほどの小さなどんぐりであった。想像していたよりもずっと可愛い正体に胸をなでおろす。

ほっとしたと同時に、じわじわと喜びが押し寄せてきた。

はじめての息子からの贈り物。

息子の世話を主人に任せて、休日にまで仕事をしていた母親なのに。

よく晴れた休日。主人と共に公園に向かうその良き日に、玄関で「いってらっしゃい」と手を振り家に残って仕事をしていた私は、息子にとってはいいおかあさんではなかっただろうに。

 

喜ぶに違いない、と疑わずに私を見上げるその瞳が愛しくて愛しくて、小さなからだをぎゅうぎゅうと抱きしめた。嬉しい嬉しい出来事だった。

 

息子が拾ってきてくれたどんぐりは、虫対策(どんぐりの中には高確率で虫がいて、時間がたつと食い破って出てくるらしい。恐ろしい)のために1週間ほど冷凍庫で凍らせたあと、白い小皿にいれて職場のデスクに飾った。ころりと佇むその姿をみるたびに、誇らしげにどんぐりを手渡す息子の顔を思い出して、ご満悦である。これから先、主人と散歩に行くたびに数が増えていくんだろうか。小皿に乗り切らなくなったらどうしよう。

もう両手では抱えられないほどのものを息子にはもらっているけれど、目にみえるモノとしては初めてだったこの贈り物を、わたしは一生捨てられる気がしない。