【アメリカ生活】This is「ゴミシュシュシャア」
家族でアメリカに移住して3か月。
私も主人も生粋の日本人。どうせ自宅は「日本」なのだからと油断していたのだが、バスの運転手さんやらスーパーマーケットの店員さんやらテレビのコメディアンやら、随所に登場する「英語」の存在を敏感に感じ取った息子がある日「Oh,schoolbus!」と黄色いスクールバスを指さした。
ぎょっとしたのは純日本人の母たる私。彼の発音は完全ジャパニーズイングリッシュである私をすっかり置いてけぼりにしていた。そして純日本人である私の脳みそが描き起こした彼の発音は、「スクーゥベァース」。
その「スクーゥベァース」を皮切りに、あれよあれよと英語を話し始めた彼の最近のお気に入りは「〇〇・・英語で?」と聞くことだ。
ごはんを食べていたらトマトを指さし「トマト、英語で?」。
寝かしつけていたらマットレスを指さし「布団、英語で?(マットレスというカタカナ語を知らないので全部「布団」になっている)」
そのたびに母は彼の学習意欲を削ぐまいと、こっそり後ろ手でスマホを起動しグーグル翻訳で正しい発音をチェックすることになる。トマトなら「タメイドゥ」、マットレスなら「メァットゥレェス」などと。到底ネイティブの発音には似ても似つかないのだろうが、ジャパニーズイングリッシュで覚えるよりはよかろうと「それっぽさ」を追求した応答をしているが、発音に関して自然体でするするそれっぽい音で覚えていく息子に対して、背伸びに必死なのは親の方である。
しかしここでひとつ問題が起きた。
「そうか、それっぽいことが大事なんだな」といち早く感じ取った息子は、よくわからないけど英語で言ってみたいことばに関して、なんのためらいもなく「英語っぽく」話すようになってしまった。
街中で見つけたゴミ収集車は「ゴミシュシュシャア↗」だし、犬は「イヌゥ↘」である。笑わそうとしているのではなく、大真面目にそれっぽく発音してくるので、笑うのも失礼かと思い堪えているが、免疫のない主人は抱腹絶倒である。
腹を抱えて笑う主人を心配した息子が「Oh,Are you OK?トウチャアン?(父ちゃんといいたい)」と畳みかけるように聞くものだから、もう止まらない。
息子に正しい単語を教えながらも、なかなか見られない主人の爆笑が見られて得したと思っている私はちょっぴり「いいぞ、もっとやれ」と思っている。