ぶきっちょさんの共働き入門

2021年夏より家族でアメリカ居住。異国暮らしとキャリア断絶について考える日々

【今週のお題】世界で二番目に好きだと

「いつかもし子供が生まれたら、世界で二番目に好きだと話そう」

某国民的アイドルのヒット曲の一節。わたしはこの歌の二番の歌詞がすきだった。

いつかもしこどもが生まれたら、同じことが言えたらいいと思っていた。

大人になっていつか誰かと結婚し、こどもができて長い時を過ごしたとしても、お互いがいちばんの理解者であり、こどもの「親」としてでなく、パートナーとして一番大切だといえる関係を作っていけたら幸せだろうとおもっていた。

実際に息子を授かり、臨月を向かえた私と主人は、おおまじめにそう言い合っていたのだ。こどもが生まれても、まずは夫婦関係を大切に。互いを一番に。こどもはいつか手を離れ、夫婦二人の時間を長く過ごすのだから、お父さん+お母さんだけの関係にはなるまいね、と。

 

しかしいま。

私は毎夜、保育園から帰ってきた息子に「世界でいちばんだいすきよ」と躊躇なく頬ずりしている。ひとりで集中して遊んでいるときは、なるべくそっとしておいてやろうとも思うのだが、隙をみては「かわいいかしこいすばらしい」と褒めたたえながらぎゅうぎゅう抱きしめてしまう。仕事をしているので、物理的に一緒に過ごせる時間は長くはないけれど、短い時間に愛情を伝えねばと躍起になってしまうのかもしれない。イヤイヤ期がはじまったらしい息子は、なにをするにも「ちがう!」と嫌がるのだが、母親からのハグと頬ずりは、遊ぶ手をとめて受け入れてくれる(すごく嫌そうな顔をしているけれど、照れ隠しだろうか・・)。

 

嘘でも冗談でも建前でも、息子に「二番目に」などとは言えない。

 

はじめは何とも言えない顔をしていた主人も、いまではすっかり「息子がいちばん、妻もいちばん」と折り合いをつけたらしい。同着一位でなにがいけない。自分のこどもがこんなにもかわいいなんて、本当にうれしい誤算であったな、と頷きあえるのは幸せなことだ。

 

ただひとつ告白すると、「せかいいちだいすきよ」と話しかける私を横目に、息子に「よかったな、昇格したぞ。でも元々は父ちゃんが一位だったんだぞ・・」と恨みがましく話しかける主人を、心の中で憎からず思っていたのも事実である。

 

今週のお題「告白します」

【絵本紹介】英語でもよめる はらぺこあおむし

今まで読み聞かせてきた絵本の中で、感銘を受けた絵本の紹介です。

 

www.kaiseisha.co.jp

 

サイズ:22×30cm

ページ数:25ページ

初版: 2006年10月

発行:偕成社

 

言わずと知れたはらぺこあおむしですが、これは日本語といっしょに英語原文が楽しめます。推奨年齢は4歳以降ですが、原色をたくさん使ったイラストとシンプルなしかけのおかげで低年齢から楽しめます。(我が家は1歳半からウケがよかったです)

原文もとっても簡単で読みやすく、また身近な食べ物の英単語がたくさん登場するので、「英語の本」と構えずに読めます。

原文が載っているおかげで、訳文の味わい深さが際立ちます。平易な英文が「こんな日本語で訳すのね、素敵」と思えたりと、大人が楽しめる読み聞かせ本です。

【育児】小皿に乗り切れなくなるほど

「ほら、〇〇くん母ちゃんにいいものあげたら?」

主人にうながされた息子がにぱーっと笑いながら近寄ってきて、小さな拳で握りしめた何かを私に差し出す。以前、虫をつまんでいたことのある息子の手のひらから何がでるかと内心ヒヤヒヤしてはいたものの、「ここで怯んじゃ母親がすたる・・!」と勇気を振り絞って両手をひろげる。

相手が幼児ならなおさらではあるけれど、大人相手でも何か分からないものを手のひらに乗せられるのはちょっと怖いものがある。

 

「あーいー!(ありがとうと言いたい。自分がお礼をいうときだけでなく、お礼を要求するときもありがとうと言うのが息子流)」と言いながら私の手のひらに置かれたものは、1cmほどの小さなどんぐりであった。想像していたよりもずっと可愛い正体に胸をなでおろす。

ほっとしたと同時に、じわじわと喜びが押し寄せてきた。

はじめての息子からの贈り物。

息子の世話を主人に任せて、休日にまで仕事をしていた母親なのに。

よく晴れた休日。主人と共に公園に向かうその良き日に、玄関で「いってらっしゃい」と手を振り家に残って仕事をしていた私は、息子にとってはいいおかあさんではなかっただろうに。

 

喜ぶに違いない、と疑わずに私を見上げるその瞳が愛しくて愛しくて、小さなからだをぎゅうぎゅうと抱きしめた。嬉しい嬉しい出来事だった。

 

息子が拾ってきてくれたどんぐりは、虫対策(どんぐりの中には高確率で虫がいて、時間がたつと食い破って出てくるらしい。恐ろしい)のために1週間ほど冷凍庫で凍らせたあと、白い小皿にいれて職場のデスクに飾った。ころりと佇むその姿をみるたびに、誇らしげにどんぐりを手渡す息子の顔を思い出して、ご満悦である。これから先、主人と散歩に行くたびに数が増えていくんだろうか。小皿に乗り切らなくなったらどうしよう。

もう両手では抱えられないほどのものを息子にはもらっているけれど、目にみえるモノとしては初めてだったこの贈り物を、わたしは一生捨てられる気がしない。

【キャリア】ちゃんとおかあさんやってるの?

ここ数日、夜中の3時より前に布団に入ったことがない。

2週間ほど前から途中参加したプロジェクトに重大な問題が発生していることが発覚して、隣部署も巻き込んで、チーム総出で火消しにあたっているからだ。きちんきちんと対応していれば発生しなかった仕事が、きちんきちんとやっていなかったばかりに雪だるま式に大きくなってから見つかった。ミスの所在はさておき、とにもかくにも連帯責任である。だが大きくなりすぎた問題に対してとにかく当座をしのぐことしかできず、もう毎日が(よくない意味で)お祭り騒ぎだ。

 

夜中遅くまで対応に追われているときに、隣部署の男性社員に声をかけられた。

たしか息子とひとつふたつ年の離れた女の子がいたはずだ。仕事で帰れない彼も、彼が帰ってこないことでしわ寄せのいく彼の奥さんも大変だろう。

「お互い大変ですね」と口を開きかけた私は、彼の次の一言で出鼻をくじかれる。

「こんな時間まで仕事をしてて大丈夫なの?お子さんはちゃんと見てるの?」

眉根を寄せて攻める口調の同僚に閉口する。共働きの家庭が少なくないこのご時勢でも、「おかあさん」であるというだけで、職場ですら母親の責務を果たせと迫られるのだ。

小さなこどもがいるのは同僚だって同じなのに。

 

共働き家庭の男性が同じような言葉をかけられる機会は、私の周囲では女性よりぐっと少ないように思う。各家庭のバランスや分担があるのに、当然おかあさんの仕事でしょと言わんばかりの言葉をかけられると心がゴシゴシ擦り減っていく。

 

毎日保育園のお迎えにいき、息子の夕飯、お風呂を終えて、息子の寝かしつけのタイミングか寝かしつけた後のタイミングで帰宅する主人にバトンタッチ。再び仕事に戻って夜半まで仕事をし、翌日のために家事をすませて布団にもぐりこんで泥のように眠る。大抵3時をまわっている。翌朝はまた保育園に送っていき、仕事がはじまる。

頑張って頑張って頑張ってるのに。「頑張ってるね」や「お疲れ様」の前に「ちゃんと育児してんのか?」がくるなんて世知辛い。

褒めてくれ、特別扱いしてくれなんて言わないから、同じ立場の同僚として扱ってほしいとただただ思うばかりだ。

【育児】それはさぞかし素敵なもので

「あったぁー!」

息子がリビングの床から何かを拾い上げ、きらきらした笑顔でつまみ上げた。ずいっと差し出す小さな手。小さな人差し指と親指で、器用につままれたその「何か」はかなり小さいのか、こちらからはよく見えない。

得意げに「あった!あった!」と連呼する息子に近寄って、しゃがみこんで目線を合わせ「なにを見つけたのかな?かあちゃんにも見せて♪」と言いかけた私は、その何かの正体をとらえて「ひえあ"ぁ~~!!」と情けない悲鳴をあげた。

 

虫。虫である。紛れもない虫である。

かわいい息子の手につままれているのは、虫の死骸であった。

もちろん芋虫とかカナブンとか、口に出すのも憚られる台所の悪魔などではなく、ほんの小さな(というにはちょっと大きな)羽虫であるが、息子の指につままれ至近距離でみつめたその姿はなかなかにインパクトが強かった。

悲鳴をあげながら息子を抱き上げ、すぐに洗面所で手を洗わせる。息子は何を思ったか「ばばーい!(バイバイと言いたい)」と哀れな虫が流れゆく排水溝に手を振っていた。

 

これまで息子の「あったぁ~!」は、大抵どんぐりとか、きれいな色の葉っぱとか、家の中で行方不明になったおもちゃの部品とか、そういった「ちょっといいもの」を見つけたときに発せられる声であった。しかしこの度どうやら「虫」も彼にとってのいいものカテゴリーにもれなく登録されていることが判明した。

 

この日以来、公園だろうと家の中だろうと、息子が「あったぁ~!」と声をあげると心臓がびくうっ!と飛び跳ねてしまう。

そうだろうそうだろう、さぞかし素敵なものを見つけたのだろう。

ちょっとしたホラーだ。息子の声が嬉しそうな分だけ、息子の指の間に挟まっている「何か」への恐怖度は跳ね上がるのだった。

【今週のお題】その美味さは陣痛をも超えて

痛い。陣痛の合間に差し出されたストロー。痛い。力の入らない体を起こしてなんとか吸い付く。痛い。もったりとしたチョコレート風味が口いっぱいに広がる。とんでもなく甘い、濃い、美味い。ああ、求めていた味です。あああああああ痛い痛い痛い痛い、美味い痛い。

一瞬、痛いのを忘れて「美味い」が脳みそを支配しました。ありがとうハーゲンダッツ

 

ああ、思えば体重制限の厳しい妊娠生活だった。先生はとっても厳しかったけれど「陣痛が始まったらいくらでもアイス食べていいから!!」という言葉を胸にこの日まで耐え忍んできた。一体何度、お腹がぐーぐー鳴って眠れない夜を過ごしただろう。

陣痛の始まりと共に主人に「いたたた・・は、ハーゲンダッツを・・!痛い・・い、いいからハーゲンダッツを・・!」と言い募り、病院へ向かう道すがら最優先で入手して息も切れ切れ産院に駆け込んだのだった。

ところがいざ産院に入院してみると、部屋には冷凍庫がなかった。

冷凍庫が、なかった。

先生が「陣痛中のアイス」をやたら推してきたので確認もしていなかった私が悪いのだが、アイスがあるのに冷凍庫がないなんてひどい。あんまりである。みんな馬鹿正直に陣痛中にアイスを食べようとはしなかったのだろうか。

主人が買い込んだハーゲンダッツは、申し訳なさそうに冷蔵庫で溶け切っていた。もうでろっでろ。

 

でろでろのアイスの存在を思い出したのは、陣痛から丸一日が経過しようというときだ。なかなかお産がすすまず、痛みで食事もとることができなかった私は文字通り疲労困憊であった。このまま長引けば、陣痛が弱くなり危険かもしれない・・と心配した助産師さんが「いいから何でもいいから食べなさい!お腹に入れなさい!」と叱咤激励し、思い出したのがそのアイスである。

付き添ってくれた主人が、すっかり溶け切った液体状のアイスにストローをさしてくれた。そこで冒頭にもどる。カップ4つをぺろりと平らげて(吸いつくして)しまった。

おかげさまで母子ともに無事なまま、息子はこの世に誕生した。

 

それまでハーゲンダッツはいつだってバニラ派だったけれど、それからはチョコレート味を贔屓にさせてもらっている。しっかり冷凍されてスプーンがささらないくらい固い状態が私好みだ。

にもかかわらず、それ以降に食べたどのチョコレートハーゲンダッツも、あのときの美味しさを超えられない。あんなに美味いチョコレート風味には、もう生涯出会えないと思っている。

 

今週のお題「チョコレート」

【絵本紹介】のりかえでんしゃ

今まで読み聞かせてきた絵本の中で、感銘を受けた絵本の紹介です。

 

hon.gakken.jp

 

サイズ:17.5×17.5cm

ページ数:40ページ

初版: 2018年08月30日

発行:学研プラス

 

よくある乗り物しかけ絵本かと思いきや、最後にちょっとした工夫があります。まず間違いなく、すぐに二週目を読んでしまいます。この絵本に関しては、ネタバレになると楽しみ5割減なので控えます。

シンプルなしかけ絵本。男の子がお父さんと一緒に旅行にいく際に、7種類ほどの乗り物をどんどん乗り換えていくというストーリー。感情表現などはなく、淡々と乗り物とその効果音(ぷるるる、ぷわーん、ぽっぽーetc)だけですすみます。太めの線とはっきりした色使い、かつ文章量も少ないので、3歳以上向けではあるものの低年齢でも目で追いやすく楽しめるとおもいます。(息子は1歳半ですが楽しめました)

しかけを上手く利用して遠近感を表現しているので、モノの観察にも。

 

ご参考までに。