ぶきっちょさんの共働き入門

2021年夏より家族でアメリカ居住。異国暮らしとキャリア断絶について考える日々

【育児】いまはまだ「ありがとう」だけを

業務パソコン上にはすでに何度か「保育園おむかえ」アラームが表示されている。アラーム再通知ボタンを3回押したあたりから、冷や汗がとまらない。

退社直前に急な仕事が入ってしまった。定時を過ぎても片付く気配がなく、本格的に焦りを感じ始めたときのことである。主人から「これから帰宅します」という連絡が入った。これぞ神の啓示!!と息子の保育園のお迎えを頼むと、主人はふたつ返事で引き受けてくれた。(正確には、「二言話す間しか与えなかった」かもしれない。それだけ焦っていました)

母の代わりに父が迎えにいく旨を保育園に連絡し、これ幸いとばたばた仕事に戻った。

 

火急の案件がひと段落して、帰宅準備を始めたときになってようやく、保育園お迎えについて主人になにも引継ぎをしていないことに気が付いた。主人が保育園のお迎えにいくのは初めての事である。持ち帰らねばならないあれやこれや、翌日のために準備しないといけないあれやこれやは大丈夫であろうか。

帰宅し主人に、急にお迎えを丸投げしたことへのお礼と謝罪を述べると、主人は興奮したように様子を語ってくれた。

いわく、勝手のよくわからない主人に、息子が「あれをやれ!」「次はあっちだ!」とでも言いたげにあちこち指さし、帰り支度をサポートしてくれたそうである。普段、帰り支度をする際に一緒に「おむつゴミよし!」「洗濯物よし!」指差呼称をしている成果であろう。

しかも息子の助力により、主人が無事に帰り支度を完了したとみるや「ドヤぁ」と言いたげにニンマリ笑って、自らの頭をよしよししてみせたのだそうだ。「あーいー!(ありがとう)」と言いながら。

まさかのセルフよしよし。そしてまさかのセルフありがとう。

頼りないとうちゃんをサポートした上に、自らの頭をよしよしして褒め、自らお礼を言う。一人ノリツッコミを彷彿とさせる所業だが、いうまでもなく完璧な対応である。恐れ入った。

 

誰かの手助けをすると喜んでもらえる。

いいことをすると頭をなでてもらえる。

そして「ありがとう」と言ってもらえる。

 

これまで地道に繰り返してきたことが、実を結びつつあるのかもしれない。大人の手でやった方が早いことでも、息子が「手伝っている」風情を出していたら遮らず、褒めて、頭をなでて、「ありがとう」と言い続けてきたことが。

 

息子は今日も精一杯お手伝いに励んでいる。

清潔なタオルが洗濯カゴに運ばれ、部屋中のベビーロックは外れていないか見回りされ、あとで履こうと揃えておいたスリッパは戸棚に仕舞われる。例え、結果的に余分な洗濯物が増え、ベビーロックを外すタイミングを見計らう必要があり、スリッパを戸棚から出す手間が増えようとも。

彼がもう少し大きくなるまで、いまはただ「ありがとう」と頭をなで続けようと思っている。