ぶきっちょさんの共働き入門

2021年夏より家族でアメリカ居住。異国暮らしとキャリア断絶について考える日々

【キャリア】今日残業できる?

「今日残業できる?」

会社貸与のパソコンが「ぽんっ」と軽やかな音を立てて、上司からのメッセージが届く。残業のお伺いである。昨今のオンライン会議アプリは非常に使い勝手がいいので、上司とのやり取りももっぱらchatやテレビ電話だ。外出自粛のご時世なので、会社が早めに導入してくれていて本当によかったと思う。

残業のお伺いも、以前は上司が気まずそうに、もしくは楽しそうに机に近づいてくるのが定番(はたまた無言の圧を感じる or そもそも定時で帰れるわけがない)だったが、今ではchatで一言だ。便利な世の中になったものである。

 

1歳の息子をもちながら職場復帰を果たした私にとって、この残業のお伺い、かなり対応に困っている。

残業そのものはいいのだ。社会人である以上、業務上ピークの立つタイミングはあるというもの。我が家には大人が二人いるのだから、協力し合えれば何とかなると思ってはいる。

問題は、お伺いのタイミングだ。息子の保育園お迎え予定は18時。しかし残業のお伺いは、早くて16時、遅ければ17時まぎわになることもある。お迎え対応を主人に委託しようにも「初めからそのつもりで準備をしていた17時退社」と「ごめん!今からお迎えヨロシク!と言われての17時退社」にはバタバタ具合が天と地ほどにも差がある。

 

もし私が同じことを言われたら、こう言いたい。

「なんでもっと早く分からなかったの?」

「もともとの予定は?」

「どういう業務設計してたの?」

「なんの前提が変わったの?」

「次回以降はないんだよね?」

しかしこちとらただの平社員。パワー系上司(尊敬する人です。ただちょっとパワー系なだけで)にそんなことを言える胆力などあるはずもなく。コソコソと主人に電話をかける日々が続いている。取引先に謝罪しているかのような腰の低さだ。もちろん電話のこちら側ではペコペコお辞儀付きである。

それに、おそらく上司も他部門や客先から、突発の仕事を振られている立場なのだろう。「急に仕事を依頼すること」がまだまだ常態化している会社では、なかなか変わらない。きっと「急に仕事を依頼した人」は、依頼した先にいる人が、自分と同じように「いつでも残業できる人」だと思っているのであろう。

 

主人も上記のような責め句が胸をよぎるに違いないのだが、ぐっと堪えて対応してくれている。もちろん、息子の世話は夫婦二人の責任だけれど、急に頼まれることほど対応に困ることはないと理解しているので、いやはや平謝りである。

 

復帰してまださほど時間がたっていないので、早く経験を積んで仕事の波に乗りたい思いと、家事育児にしわ寄せしたくないという思いで思い悩む。バランスをとるのは難しい。

差し当たっては、明日の夕方に「ぽんっ」が来ないことを祈るばかりである。