ひゅんっと息子の後方めがけて飛んでいく白い塊。
それはまさしくご飯粒であった・・
保育園に通い始めて、食欲の出てきた我が息子。ぜひこの勢いを大切にしたいと、彼の食べる意欲を削がないように食事中は必死である。なんせ、すこしでも盛り上がりに欠ける態度ないし発言をすれば「もういらないぜこんなもん!」と言わんばかりに、お皿からそっぽを向いてしまうからだ。歌を歌ったり、スプーンを貨物列車に見立てて「がんごとん、次は〇〇くんのお口~♪」とアナウンスしてみたり、それはもう(親が)賑やかである。
不思議なのは、保育園では静かにさっさと食べ終わっているということ。息子なりに内と外を区別しているのであろうか。そう思うと、家でくらいは彼を甘やかしてやりたい思いが先に立ち、今日も食卓はお祭り騒ぎであった。
最近は、大人用の木製スプーン(おかゆやスープを食べるときにつかうもの)で食事をするのがこだわりのようで、1歳児の口のサイズにあうコンパクトなスプーンには見向きもしない。差し出すと「こんな幼稚なもん使えるか!」と投げ捨てられる。
しかし大人用なので息子の口に入れようとすると大きすぎてはみだし、同時にスプーンに乗せたおかずも盛大にこぼれる。エプロン上なら掬ってたべさせてしまうが、とにもかくにも食事中は大いに汚れてしまう。
それだけなら従来プラスα程度、楽勝(と自分に言い聞かせればOK)だと思っていたのだが、新たな問題も発生した。
大きなスプーンは持ち手も長めなので、振り回したときに遠心力がつくのだ。
息子もわざとではないのだが、勢い余ってスプーンを口に運ぼうとした際に、口を通り過ぎてほっぺをかすめ、ぶんっ!と後ろまで手を振りぬいてしまうことがある。そうすると、スプーン上に載っている食べ物はどうなるか。
・・はるか後方に飛んでいくのである。
そう、カタパルト投擲の要領だ。息子の後方1.5mくらいのところに、ご飯粒のかたまりがぽとりぽとりと落ちている。
息子もスプーンから食べ物が消えるので「はて?」という顔をするが、はるか後方に落ちているので気が付かず「まあいいか」と食べ進める。
このとき、決して笑ってはならない。いくら投擲の軌道がきれいで、ご飯粒が毎度同じ曲線を描いてきらきらと飛んで行ったとしても。
わざとではないし、本人も必死に食べているのがわかるので、もう彼が慣れるのを待つしかないのだと思う。(フードロスになるけれど食べこぼしの類だろうと割り切っている・・)
きれいに拾ったつもりでも、たまに思わぬところ(かなり遠く)からご飯粒が見つかる事件が相次いだため、私は今日も這いつくばってご飯粒の広い残しがないか探している。