【今週のお題】どうしても「小さい秋」からはじめたくなる
秋がきたなと思うと口ずさむ歌の代表ではないでしょうか。
「ちいさいあーきーちいさいあーきーちいさいあーきーみいつけたあー」というあの歌。
日本に住んでいたころ、作者と所縁があるのかないのか、近くの公園にこの歌の歌詞が描かれた石碑のようなものが立っていて、家族で散歩するたびに見かけていた。通りがかったときに口ずさむのはもっぱら私と息子で、主人はハミングするでもなく黙って隣を歩く。夏だろうと冬だろうと、口ずさむ。
通りかかると毎回歌うのだから、歌詞はよく目にしているはずなのだが、どうにも間違えてしまう。
その石碑のそばで歌うときはよいのだ。歌詞を目にして、その場で歌うので間違えない。問題は、公園を立ち去った後。帰り道とか、電車の中とか、その日の夕ご飯を作っているときとかに、ふいに思い出して口から歌詞が飛び出すときがよろしくない。どうしてもここから始めたくなってしまうのだ。「ちいさいあーきーちいさいあーきー」と。
実際に、その部分が歌い出しかのように歌ってみてほしい。
本来は「だーれかさんがーだーれかさんがー」で始まるべきあのリズムで「ちいさいあーきーちいさいあーきー」と。当然、そのリズムの後ろには本来の「ちいさいあーきーちいさいあーきー」が控えているので、必然「ちいさいあき」を2回見つけなければいけなくなる。その事実をよくわかっていて、最初の「ちいさい」を口にした時点でもうすでに「しまった」と思ってはいるのだけれど、はじめたものを続けざるをえない。
「ちいさいあーきーちいさいあーきーちいさいあーきーみいつけたあ↗
ちいさいあーきーちいさいあーきーちいさいあーきーみいつけたあ↘」
仕方なく音程で差別化をはかるのだが、主人は絶対に聞き逃してくれない。
「主語が抜けましたよ」だとか「誰かさんがみつけてくださいね」だとかいう突っ込みを即座に入れるので、わたしも即座に「うるさいな」とか「言わなくても誰かさんが見つけたって知ってるんじゃん」だとか切り返さなくてはならず、「目隠し鬼さん」まで到底たどり着けない。
今週のお題「秋の歌」